2013年,私が劇場で観た作品は53本でした。
どうしても見逃しちゃったのがいくつかあってクヤシイ!
そして,苦手分野にはやはり挑戦しなかったのでした。
さて、毎年恒例の私的映画賞。今回で10回目!要するに10年目!
では発表させていただきます。
最優秀作品賞:
『きっと,うまくいく』(ラージクマール・ヒラニ監督:インド)
優秀作品賞:
洋画部門『ある愛へと続く旅』(セルジオ・カステリット監督:伊/西)
邦画部門『東京家族』(山田洋次監督:日本)
今年の最優秀作品は即決。観たときの「えっ,面白いじゃん!」の感覚がたまりません。インド映画は踊って歌ってばかり,という印象の人も多いと思いますが,この作品にはそれは少しだけで,ストーリー展開も俳優たちの演技も,かなり質の高い作品です。170分の長尺なのですが,最後までまったく飽きません。これは間違いなく2013年を象徴する一本!
優秀作品は昨年同様2本です。
『ある愛へと続く旅』は我らがペネロペ・クルス主演の人間ドラマ。ストーリーにも俳優の演技にも非常に評価が高い作品。それなのに都内1館だけの上映だなんて!
『東京家族』は小津安二郎の『東京物語』を山田洋次監督が現代風にリメイクした作品。オリジナルを知っている人も知らない人も十分楽しめるはず。小津作品好きの私はオリジナルと比較しながら観て楽しみました。
ほかには,『もうひとりの息子』,『ヒステリア』『舟を編む』も候補に挙がりました。いやいやどれも捨てがたい!
主演男優賞:マッツ・ミケルセン(『偽りなき者』)
助演男優賞:ビル・ナイ(『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』)
ハイ,確かにね,好きだからね,特に注目してしまうんです。『偽りなき者』のマッツ・ミケルセンは集団ヒステリーと化した世間からの理不尽な扱いに必死に耐える姿を,痛々しく繊細に演じていました。ほかに,『鑑定士と顔のない依頼人』のジェフリー・ラッシュ,『最後のマイ・ウェイ』でクロード・フランソワを演じたジェレミー・レニエ,『わたしはロランス』のメルヴィル・プポー,邦画では『舟を編む』の松田龍平も候補に。
助演男優賞のビル・ナイは,私もYさんも『ラブ・アクチュアリー』からのファン。実は大ファンと言ってもいい(笑)『マリーゴールド~』では優しさと包容力のある初老の男性を,丁寧に演じていました。ラストシーンも大好き。ほかには,『キャプテン・フィリップス』で海賊のリーダーを演じたソマリア人俳優バーカッド・アブディ(なんと本作が俳優デビュー作),『サイド・エフェクト』『アンナ・カレーニナ』のジュード・ロウ,そして,昨年新人賞に選んだエズラ・ミラー(『ウォール・フラワー』)。期待に応えて見事に新しい役柄を見せてくれました!
主演女優賞:ペネロペ・クルス(『ある愛へと続く旅』『ローマでアモーレ』)
助演女優賞:マリオン・コティヤール(『君と歩く世界』)
優秀作品賞に選んだ『ある愛へと~』で,大学生から中年までを熱演したペネロペが主演女優賞です。ウディ・アレン監督作『ローマでアモーレ』での出演シーンは多くないのですが,ものすごい存在感で私たちを笑わせてくれました。幅広く演じられる素晴らしい女優だと思う。スサンネ・ビア監督作品の常連トリーヌ・ディルホムも『愛さえあれば』で夫に浮気される女性を何とも慎ましやかに表現していました。
助演女優賞は『君と~』で両足を失った女性を演じたマリオン・コティヤール。この方も美しいだけでなくすっかり演技派女優ですね。助演女優賞で最後まで競ったのが『愛,アムール』『眠れる美女』のイザベル・ユペール。作品ジャンルにかかわらずこの人が画面に出てきたときに受けるインパクトって何なんでしょう。
監督賞:ジュゼッペ・トルナトーレ(『鑑定士と顔のない依頼人』)
あの『ニュー・シネマ・パラダイス』の監督。『鑑定士と~』はかなりサディスティックで観ていてドキドキハラハラ。ある程度のところで結末が見えてきてはしまうのだけれど,場面の切り替えや音の入れ方,俳優とカメラとの距離,顔への光の当て方などなど,とにかく技術が高い。質の高さに感激してしまいました。ほかには,『
最愛の大地』で長編初監督に挑んだアンジェリーナ・ジョリーも候補に。
脚本賞:『眠れる美女』(マルコ・ベロッキオ 、ヴェロニカ・ライモ 、ステファノ・ルッリ 脚本)
尊厳死がテーマのこの作品。同時進行する3つの物語の結末はどれも中間報告。興味深い脚本です。ミヒャエル・ハネケ監督・脚本の『愛,アムール』も秀逸。それにしてもずいぶん重い2作品を選んだものだ…
撮影賞:『アンナ・カレーニナ』(英)
トルストイの『アンナ・カレーニナ』の実写化ですが,アンナ役のキーラ・ナイトレイの熱演はあまり見なくていいんだけど,舞台劇,人形劇のような演出は一見の価値ありです。前出の『鑑定士と顔のない依頼人』も撮影技術の高さから候補に挙がりました。
新人賞:ファブリツィオ・ファルコ(『眠れる美女』)
これホントに演技?と思ってしまった。後から調べたら本作でマルチェロ・マストロヤンニ賞(新人賞)を受賞していました。イタリアも,そして私たちも今後に期待する俳優。
音楽賞:『最後のマイウェイ』(仏)
審査員特別賞:レオナルド・ディカプリオ(『ジャンゴ 繋がれざる者』『華麗なるギャツビー』)
米アカデミー賞無冠の男レオ。『ジャンゴ~』でも『華麗なる~』でも間違いなくいい演技してるんだけどなー。童顔ゆえ?タイタニックの呪縛?
ラジー賞:『偽りの人生』(アルゼンチン/西/独)
ヴィゴ・モーテンセンを使っておいてそれはないだろう!というのがYさんの意見で… 私は苦手なソフィア・コッポラを避けたので,該当なしです!
2013年はインドの,しかもコメディ映画が最優秀作品。こういう意外性が映画ファンである醍醐味です(大げさ?)。
今年はどんな作品に出逢えるかな。楽しみです。