あまり期待してなかったけれど、結構良かったな~
武士の一分
監督:山田洋次
出演:木村拓哉 、檀れい 、笹野高史 、桃井かおり 、坂東三津五郎
★★★★☆(3.5)
『たそがれ清衛』『隠し剣鬼の爪』に続き、山田洋次監督の藤沢周平三部作最終部。
藩主の毒見役である新之丞は、妻の加世とともに幸せに暮らしていた。しかし、ある日、貝に付着していた毒を食したことから失明してしまい、そこから運命がかわっていく・・・
結末はまあそこそこです。シーンのだいぶ前から予測できるけど。
キムタクの配役に、初めは疑問視していた。でも、観終わった後、かなり健闘していたなと思った。
確かに時代劇なのに演技は現代的だった(これは妻役の檀れいにも同じ)。ドラマやバラエティでも見せるような笑顔や発声が。
でも、盲目の武士という難しい役をちゃんとこなしていたと思う。この作品にかける意気込みも感じられた。個人的には拍手を送りたい。
脇を固める俳優もまた良かった。
ストーリーは坦々と進む。決闘シーンも割とあっさりと決着がつき、『座頭市(2003)』のようなものを期待している人にとっては拍子抜けするかも。
ただの推測だけど、山田洋次監督はあそこでロングショットにこだわったんじゃないかなあと思う。
敵役の坂東三津五郎の視線で上から、新之丞の視線で(盲目だが)下から、それぞれの短いショットを組み合わせれば確かにもっと激しい動きになったと思うんだけれど、あえてそうしなかったんじゃないかな、と思った。どうでしょう。
監督はインタビューで「この映画を通して、ぼくたちは江戸時代の地方の藩で静かに生きていた先祖たちの姿を敬意を込めて描く、ということをしたいと思います。」と話した。
そんな作品でした。