先週のフィリップ・シーモア・ホフマン逝去のニュースに驚いた映画ファンは少なくないだろう。
惜しい。本当に惜しい。あんな俳優,そういるものではないのに…
ホフマンは,もともと「名脇役」として数々の作品で評価を受けてきた。
大作からミニシアター系まで本当にさまざまな作品で,いろんな役をやってきた。
「カメレオン俳優」と呼ばれる一人だ。
その彼が主役として一躍脚光を浴びたのは,2005年(日本での公開は2006年)に自ら初の製作総指揮となった『
カポーティ』である。
アメリカの作家トルーマン・カポーティが、ノンフィクション小説「冷血」を書く6年間を描いた作品で,
彼はカポーティ役で米アカデミー賞主演男優賞をはじめ,数々の賞に輝いた。
他の作品で見ればわかるように,ホフマンは低音の声の持ち主であるが,カポーティでは甲高い声で本人になりきっている(詳しくは
過去に載せた感想を見てもらいたい)。
ホフマンが出演し,昨年日本で公開された作品のひとつに『
ザ・マスター』がある。
新興宗教サイエントロジー創始者をモデルとし「ザ・コーズ」という宗教団体の教祖役を演じた。
作品自体は陰鬱で,正直,おもしろいとか人に勧めたいとかは全然思わないんだけど,やはりホフマンの演技は共演のホアキン・フェニックスの熱演とあいまって,強い印象を残した。

多くの監督に信頼され,その期待に応えてきたホフマン。
次はどんな作品に出るのかと楽しみな俳優の一人でした。
享年46歳。その早すぎる死を,しばらく信じることができそうもありません。