絶賛されすぎな気がする。
わが母の記
(2012;日本)
監督:原田眞人(『クライマーズ・ハイ』)
出演:役所広司,樹木希林,宮崎あおい,南果歩
★★★☆☆(3.0)
小説家の伊上は実母の八重にかつて捨てられたと思い込んでいた。しかし、父が亡くなったのを機に、伊上は母と向き合うことになる。その八重は,すっかり老い,物忘れがひどくなり,次第に自分の息子のこともわからなくなる…
主演の役所広司をはじめ,確かに豪華な俳優陣。はじまってすぐに亡くなってしまう父を演じたのは三國連太郎だし。手を振り払う以外にほとんど演技もセリフもないのだけれど。
さて,公開前にして世間の評判は上々だが,私の評価は決して高くない。
母親が老いていくのはつらいことだ。まして記憶がどんどん失われ,娘か女中かもわからない。
樹木希林の“ぼけ”演技に,場内は笑いにつつまれたが,樹木希林じゃなかったらそれほど笑えないだろう。
それほど,樹木希林のキャラクターに依存している部分が大きい。
まあそれはそれでいいのだが,宮崎あおいはいただけない。幼いながらに父親に反発したり,祖母にいらついたりする役どころなのだが,そのどちらも大げさに表情を作っていて,それがやたらに鼻についた。
同じ娘役を演じた南果歩やキムラ緑子と比べ,なんと稚拙なことよ…
宮崎あおいの演技もさることながら,ストーリーのラストがあまりにあっけない。伊上の妻の一言にアラッ!?となる。そんな!何だよ,早く言え!と思ってしまったのは私だけだろうか。
とは言え,オープニングの映像や,時代背景をうつす衣装・小道具などから,多くの映画人が緻密に丁寧に作った作品であることは十分に推し量ることができる。
4月28日全国公開。