ウディ・アレン炸裂!
人生万歳!
(原題;WHATEVER WORKS)
監督:ウディ・アレン
出演:ラリー・デヴィッド、エヴァン・レイチェル・ウッド、パトリシア・クラークソン
★★★★☆(4.0)
NY。かつてはノーベル賞候補になりながら、今ではすっかり落ちぶれた物理学者のボリスはある夜、南部の田舎から家出してきた若い女性メロディと出会う。ボリスは行き場所のないメロディを気の毒に思い、自宅に上げるが・・・
久々に舞台をヨーロッパから古巣ニューヨークに移したウディ・アレン監督40作目は、まさしくウディ作品そのもの。実は本作は、ウディが70年代半ばに書き下ろした脚本をベースにしたものだそう。あの『アニー・ホール』と同時期のものだというのは妙に納得。あの時代のウディの頭の中はこうなっていたのね・・・
主人公のボリスは、人生を無意味だと感じる悲観主義ではあるが、悪人ではない。劇中のセリフにもあるが、メロディという若い女性と過ごしてぎりぎりなんとか人生をやりくりしているのである。ここのあたりが“自虐的なユーモア”と言われる所以だろうか。
初めてロンドンを舞台にした作品『
マッチポイント』(2005)では、あちこちにロンドンやイギリスらしさを見せていたが、今回も「ボク、NYへ帰ってきたよ」と言わんばかりに、自由の女神やセントラルパークなど(ちなみにユニクロNY店も)を登場させている。
人物たちの止めどない会話や長いセリフ、長回しのシーンは相変わらずで、主人公の“ひとり語り”のシーンは『アニー・ホール』のときの軽妙な味わい。また、ウディ作品の最大のテーマである“人生で起こることの90%は運に左右される”が、ここではハッピーに展開していく。そして最後は「Whatever Work!(なんでもあり!)」だ。
愛すべきキャラクターたちと軽快なタッチ、そして久しぶりのオールハッピーエンド。楽しかったです。
メロディ役のエヴァン・レーチェル・ウッドと、その母親マリエッタ役のパトリシア・クラークソンは、
2009年Y&W映画賞でそれぞれ新人賞と助演女優賞に選ばれています!うーむ、なかなか。と、ひとり悦に入ってしまいました。