これも12月に観た作品・・・ 現在公開中です。
エレジー
(2008;米)
監督:イザベル・コイシェ(『死ぬまでにしたい10のこと』『あなたになら言える秘密のこと』)
出演:ペネロペ・クルス、ベン・キングズレー、パトリシア・クラークソン、デニス・ホッパー
★★★★☆(3.8)
大学教授のデヴィッドは、授業に出ていた学生の一人、コンスエラを一目で気に入り、やがて深い仲に。彼は30歳も年の離れた若く美しい女性との情事に有頂天になるが、次第に自らの老いを意識し、嫉妬に駆られ・・・
「からだから、 こころから、 あなたを消せない。 もう一度、 愛したい。」
というのが、この作品のコピーで、30歳の年の差がある大人の男女の恋愛模様を描いた作品、というイメージだが、実際は、恋愛よりも“老い”や“孤独”が中心のテーマだと言えるだろう。
ベンとパトリシア・クラークソンの後半のシーンでは、人が誰しも受け入れなければならない“老い”について、非常に考えさせられる。
パトリシア・クラークソン演じるキャロラインは、嘗ては若く美しく、キャリアを築いてきた女性。
彼女は同年代の女性たちの“老い”に対する悲哀を語る。
2人は、割り切った関係を20年続けてきたが、やっと「本当に話し合った」と振り返る。
そして、「結婚して40年しても、本当に話し合ってない夫婦もいるんだからましだわ。」とつぶやく。
男の老いと女の老いは、似て非なるものだと、つい悲観的に観てしまった。しかし、本当に素晴らしいシーンだ。『ラースと、その彼女』のレビューでも書いたが、パトリシア・クラークソンは本当に強い存在感のある女優だ。
デヴィッドの友人役の、デニス・ホッパーの最期にも、夫婦関係の凋落や人の命のあっけなさを感じさせられる。
途中、デヴィットと息子ケニーとのやりとりには、失笑してしまった。
唾棄していたはずの父親に、打ち明け話をし、思ったようにいかずに右往左往するケニーの姿は、ホント、情けないやらバカらしいやら・・・
高齢に対する劣等感。分別があるからこその孤独。友人との喪失感の共有。
私にも、「うん、うん、わかる」と切実に感じるときが来るのでしょうねえ。