いま ここにある風景
(2006;カナダ)
監督:ジェニファー・バイチウォル
出演:エドワード・バーティンスキー
★★★☆☆(3.0)
カナダ人写真家、エドワード・バーティンスキー。彼は、産業発展によって極端なまでの変化を強いられた風景の広域写真を撮り続けている。そして彼の写真は、異様さや残酷さを称えながらも、圧倒的な美しさで国際的な評価を得ている。そして彼が今回選んだ被写体は、中国の産業発展の痕跡とその影響である――。産業発展の影響をカメラに収めるべく、中国を訪問したカナダ人写真家、エドワード・バーティンスキーを追ったドキュメンタリー。2006年トロント国際映画祭最優秀カナダ映画賞受賞作品。(cinemacafe.netより)
オープニングの中国のアイロン工場のシーンは圧巻。
8分間続くこのシーンには、誰かが演技をしているわけでもなく、さまざまな機器を使用する工員をただただ写しているだけでなのに、そこにいろいろな風景が見えるようだった。
彼らはこの巨大な工場で、毎日黙々と単純作業をしているのだろうか。
彼らはこの仕事を得て、どんな生活をしているのだろうか。
この巨大な工場の管理者は、大勢の工員たちをどのように扱っているのだろうか…
そして巨大工場には、廃棄された製品の山がある。
“再生資源”と呼ばれるが、そのための分別は果てしない作業だ。
人は便利を求めて製品を開発し、製造し、そしていずれは捨てる。
その繰り返しによって、地球の風景を変化させてきた。
汚染によって真っ赤に染まった河は、残酷なほど美しい。
映画の中盤からは、石油が地球にもたらした表と裏。
エドワード・バーティンスキーは、目覚しい経済発展をした中国は「“石油のパーティー”でラストダンスを踊っている」と話している。
今、日本ではエコブームと言われているが、もう間に合わないんじゃないかなあ…と無責任にも感じてしまいました。
7月12日、東京都写真美術館ホールほかにて公開。