観てからしばらくたちましたが、数々のシーンが脳裏に浮かびます。
ノーカントリー
(原題;NO COUNTRY FOR OLD MEN)
監督:ジョエル・コーエン 、イーサン・コーエン
出演:トミー・リー・ジョーンズ、ハビエル・バルデム、ジョシュ・ブローリン、ウディ・ハレルソン
★★★★☆(4.2)
1980年代のテキサス。狩りをしていたモスは、大量のヘロインと大金を発見する。危険なにおいを感じ取りながらも金を持って逃亡する彼は、謎の殺し屋シュガーに追われることに。2人の行方を追う地元保安官のベルも巻き込まれていく…
コーエン兄弟作品としては初めて、原作のある作品らしい。
人物にあたる光と闇、
爆発音、足音、静けさ…そして死体から流れる血や荒野の草のにおい…
殺伐感がありながら、非常に写実的だった。
オープニングからラストまで、画面から目を離せなくなる緊迫感。
この作品が他の作品と一線を画しているのは、殺し屋の存在である。
米アカデミー助演男優賞を受賞したハビエル・バルデムが演じるシュガーという役は、恐ろしいだけではない。
彼自身が死(殺し)の目的も、存在(生きること)の意味も理解していない。
そのことに疑問を抱くシュガーのラストの後姿が、それまでよりも恐ろしく感じた。
保安官ベルを演じたトミー・リー・ジョーンズが今作の主演。
正義は悪に勝ち、人間の生きる世界には秩序があると信じてきた彼は、“無感覚”に人を殺める現代の犯罪者、それに対して“無感覚”な現社会に悲観する。
その答えこそ、この作品のテーマなのだろう。
コイントスが怖くなった…