時代背景を理解していないと,読み誤る。
キャロル
(2015;米)
監督:トッド・ヘインズ
出演:ケイト・ブランシェット,ルーニー・マーラ,サラ・ポールソン
★★★★☆(3.8)
1952年、冬。ジャーナリストを夢見てマンハッタンにやって来たテレーズは、クリスマスシーズンのデパートで玩具販売員のアルバイトをしていた。彼女にはリチャードという恋人がいたが、なかなか結婚に踏み切れずにいる。ある日テレーズは、デパートに娘へのプレゼントを探しに来たエレガントでミステリアスな女性キャロルにひと目で心を奪われてしまう。それ以来、2人は会うようになり、テレーズはキャロルが夫と離婚訴訟中であることを知る。生まれて初めて本当の恋をしていると実感するテレーズは、キャロルから車での小旅行に誘われ、ともに旅立つが……。(eiga.comより)
映像が美しい。ルーニー・マーラ演じるテレーズの横顔をうつすシーンが特にそうだ。憧れの人との約束を手帳に書き留める彼女は,少女そのもの。そこからどんどん女性に成長していく横顔が見事だ。
後半になるとキャロルの視点からの場面が増えてくる。車の中からテレーズを目で追うシーン,ケイトの演技はさすがの一言。
ラストシーン,二人の視線が交差する。何ともドラマチック。
ここまで美しい作品になったのは,もちろんキャロルとテレーズという二人の女性の美しさもあるけれど,女性同士が惹かれあい,そして離れようとする心情を,色調や映像で表現したトッド・ヘインズ監督の力が大きいのではないかな。
全国上映中。