偶然にも、飛行機の中で見ました。
マイレージ、マイライフ
(2009;米)
監督:ジェイソン・ライトマン(『JUNO/ジュノ』)
出演:ジョージ・クルーニー、ヴェラ・ファーミガ、アナ・ケンドリック
★★★★☆(3.5)
仕事で年間322日も出張するライアンの目標は、航空会社のマイレージを1000万マイル貯めること。彼の人生哲学は、バックパックに入らない荷物はいっさい背負わないこと。ある日、ライアンは自分と同じように出張で各地を飛び回っているアレックスと出会い、意気投合するが……。(シネマトゥデイより)
アカデミー賞主要5部門ノミネート、主演ジョージ兄さん、ときたら、当然期待せざるを得ない。
本当に偶然にも出張の飛行機内で観たので、その影響で評価が少し高めなのだが、全体的にはちょっと軽かった、という印象である。
物語が展開するテンポが速いためか、セリフを反芻してもう一度噛み砕きたくなることが何度かあった。
アナ・ケンドリックは新入社員のナタリーを演じ、助演女優賞にノミネートされたが、それほど印象に残る演技ではなかったように思う。むしろオーバーアクションで、ヒステリックになるシーンなどはあまり可愛げもなくて、最後までキャラクターを好きになれなかった。
ヴェラ・ファーミガは、ライアンと同じように出張に飛び回るビジネス・ウーマンのアレックスの役で、同じように助演女優賞にノミネートされた。最初の登場シーンで行く末がなんとなく見えてしまったが、ミステリアスでクールな女性を魅力的に演じていたと思う。
私自身は、なるべく出張は避けたいほうだし、まして移動のために荷物を減らしておくなどといった合理的な考えは一切持たないほうなので、ライアンのように、心にぽっかり穴があいたような気持ちになることはないだろう。
しかし、友人や家族との関係が希薄になっていることに気が付きつつも、とにかく振り返らず、“前のめり”といえるような状態で走り続けている人が、自我に対して浮遊し、あえて自分というものを捨象してしまうことを、理解できてしまう。
もしかしたら、共通点があるのかもしれないなあと思いながら、軽やかに描かれた本作を、空の上で観終えた。